収益物件は買ってからがスタート|購入前に管理会社へ相談すべき理由

収益用不動産を探していると、どうしても物件価格や利回り、融資条件などに意識が向きます。

「希望していた条件の物件を見つけた」

「金融機関から融資の承認が出た」

「無事に契約と決済が終わった」

ここまで進むと、大きな仕事を成し遂げたような気持ちになるかもしれません。

しかし、収益用不動産は、購入がゴールではありません。

物件を買ってからが、賃貸経営の本当のスタートです。

購入後は、入居者募集、家賃回収、修繕、クレーム対応、退去、原状回復、再募集などが続きます。

購入時に想定した家賃収入を実際に得られるかどうかは、物件を買った後の運営にかかっています。

目次

管理会社から見ると「管理したくない物件」もある

収益物件として売りに出されているからといって、すべてが安定して経営できる物件とは限りません。

管理会社の立場から見ると、正直に言って「できれば管理を引き受けたくない」と感じる物件もあります。

例えば、次のような物件です。

  • 周辺の賃貸需要に対して供給が多すぎる
  • 間取りや設備が現在の入居者ニーズに合っていない
  • 募集家賃が周辺相場とかけ離れている
  • 建物や設備の劣化が進んでいる
  • 修繕履歴が十分に残されていない
  • 入居者募集に多額の広告費がかかる
  • 入居者間や近隣との問題を抱えている
  • 現在の入居率が一時的な条件によって維持されている
  • 購入後すぐに大きな修繕が必要になる可能性がある

こうした物件でも、販売資料の見せ方によっては、魅力的な高利回り物件に見えることがあります。

しかし、購入後に空室が増えたり、想定外の修繕費が発生したりすれば、当初の事業計画は簡単に崩れます。

物件資料に書かれた数字と、実際に賃貸経営を続けられるかどうかは別問題です。

仲介会社と管理会社では「物件を見る視点」が違う

不動産売買の仲介会社の仕事は、売主と買主の間に入り、売買契約を成立させることです。

一方、賃貸管理会社の仕事は、物件の引渡し後に始まります。

管理会社は、購入後の物件について、次のような業務を継続して担います。

  • 入居者募集
  • 適正家賃の提案
  • 入居審査
  • 契約手続き
  • 家賃管理
  • 入居者対応
  • 建物や設備の修繕
  • 退去手続き
  • 原状回復
  • 空室対策

つまり、仲介会社は主に「この物件の売買が成立するか」という視点で物件を見ます。

管理会社は「購入後も入居者を確保し、長期的に経営できるか」という視点で物件を見ます。

どちらが正しいという話ではなく、立場と役割が違うのです。

ただし、収益物件を購入する側は、この違いを理解しておく必要があります。

売買成立後の経営まで考えない業者には注意が必要

もちろん、仲介を専門とする会社であっても、購入後のリスクを丁寧に説明し、誠実に仕事をしている会社はあります。

したがって、「仲介専門会社だから信用できない」と一括りにすることはできません。

しかし、購入後の管理を担当しない業者の場合、自社でその物件の空室を埋める必要はありません。過去にも、「すぐに満室になります」とか「この家賃(相場よりも1万高い)で客付けできます」と適当な事を言って仲介し、購入後に大苦戦されたオーナーを何人も見てきました。

募集家賃が現実的なのか、どれほどの募集期間が必要なのか、どのような修繕が発生するのかについて、売買成立後も継続して結果を問われる立場ではないことがあります。

そのため、購入を検討するときには、担当者の説明をそのまま受け入れるのではなく、根拠を確認することが重要です。

例えば、次のような説明には具体的な裏付けが必要です。

  • 「すぐに満室になります」
  • 「この家賃でも問題なく決まります」
  • 「修繕はほとんど必要ありません」
  • 「今後も家賃は下がりません」
  • 「必ず値上がりします」
  • 「富山ならどの地域でも入居需要があります」

将来の入居率、家賃、修繕費、売却価格を確実に予測することはできません。

大切なのは、楽観的な説明を信じることではなく、その判断の根拠を確認することです。

「三為業者だから悪い」とは限らない

不動産取引では、第三者のためにする契約、いわゆる「三為契約」を利用する事業者もあります。

三為契約そのものは、直ちに違法な取引や悪質な取引を意味するものではありません。

問題は、取引の仕組みではなく、物件価格やリスク、契約内容について十分な説明が行われているかどうかです。

私が富山の収益物件市場を見てきた中では、県外の事業者が富山の物件を扱い、その後、事業から撤退したり、連絡が取れなくなったりしたケースを耳にすることもありました。

ただし、すべての三為業者が同じというわけではありません。

購入者が確認すべきなのは、三為契約を利用しているかどうかだけではなく、次の点です。

  • 売主や取引当事者は誰なのか
  • 物件価格は妥当なのか
  • 契約内容を十分に説明しているか
  • 賃貸需要の説明に根拠があるか
  • 修繕履歴や建物の状態が開示されているか
  • 購入後の管理体制が決まっているか
  • 売買成立後も相談できる相手なのか

取引条件が複雑な場合ほど、その場の勢いで契約せず、契約関係と購入後の運営体制を整理する必要があります。

管理会社は自分たちの首を絞める物件を勧めにくい

購入後の管理まで担当する会社は、その物件と長く付き合うことになります。

「すぐ満室になります」と説明した物件がいつまでも空室であれば、自分たちが入居者募集に苦労します。

「修繕は必要ありません」と説明した直後に問題が発生すれば、管理会社としてオーナーに報告し、対応しなければなりません。

現実離れした家賃で収支計画を作れば、購入後に家賃を下げる提案をするのも自分たちです。

このように、購入後の管理まで担当する会社は、売買時の説明と購入後の結果がつながっています。

だからこそ、管理会社には、目先の売買成立だけでなく、購入後の賃貸経営まで考えて判断する動機があります。

当然ながら、管理会社なら必ず正しいというわけではありません。

管理会社によっても、客付け力、修繕対応、提案力、地域情報の量には差があります。

それでも、実際にその地域で入居者募集を行い、空室や修繕の現実を知っている管理会社の意見は、購入判断における重要な材料になります。

購入を決める前に、管理予定会社へ相談する

収益物件を購入する際は、売買を担当する仲介会社だけで判断せず、購入後に管理を依頼する予定の管理会社にも相談することをおすすめします。

できれば、売買契約を締結する前に確認してください。

管理会社には、少なくとも次の項目を聞いておきましょう。

1.募集家賃は適正か

現在の入居者が支払っている家賃と、退去後に新規募集できる家賃が同じとは限りません。

現在の家賃だけでなく、新規募集時の適正家賃を確認します。

2.どの程度の期間で入居者が決まりそうか

「決まるか、決まらないか」だけでなく、募集開始から成約までに想定される期間を聞きます。

繁忙期と閑散期の違いも確認が必要です。

3.募集条件は現実的か

家賃を維持するために、広告料、フリーレント、設備追加などが必要になる場合があります。

入居者を決めるために必要な条件まで含めて確認します。

4.建物や設備に問題はないか

屋根、外壁、防水、給排水設備、エアコン、給湯器など、購入後に費用が発生しそうな箇所を確認します。

必要に応じて、建築や設備の専門家による調査も検討します。

5.この物件を管理したいと思うか

これは、ぜひ管理会社へ聞いてほしい質問です。

「この物件を購入した場合、管理を引き受けたいと思いますか」

管理会社が回答に迷うようであれば、その理由を詳しく確認する必要があります。

管理会社から反対されたときこそ理由を聞く

購入したい気持ちが強くなると、自分にとって都合の良い情報だけを信じたくなることがあります。

そのようなときに管理会社から、

「この家賃設定は難しいです」

「このエリアでは満室まで時間がかかります」

「購入後に相当な修繕費が必要です」

「この価格では事業として厳しいと思います」

と言われると、購入を邪魔されたように感じるかもしれません。

しかし、耳の痛い意見を言ってくれる管理会社こそ、購入後の経営を真剣に考えている可能性があります。

「買えます」という話と、「経営できます」という話は違います。

融資が通ることと、長期的に利益を残せることも同じではありません。

購入を止められたときは、その意見を無視するのではなく、数字と根拠を確認してください。

私たちが収益物件を簡単に勧めない理由

私たちは、収益物件の売買を単発の取引とは考えていません。

その物件を購入していただいた後、入居者を募集し、建物を維持し、オーナー様と一緒に長期間経営していくことになります。

売買時に仲介手数料をいただいて終わりではありません。

むしろ、引渡しが終わった日から、本当の仕事が始まります。

だからこそ、自分たちが管理したくない物件や、長期的な経営が難しいと判断した物件を、目先の利益だけで勧めることはできません。

良い話だけをして購入してもらっても、後から困るのはオーナー様です。

そして、その経営を一緒に支える管理会社も苦しむことになります。

収益物件を仲介するということは、買主の賃貸経営にも責任を持つことだと、私たちは考えています。

まとめ

収益用不動産は、購入できれば成功というものではありません。

物件を買ってから、何年、何十年と賃貸経営が続きます。

購入時に確認すべきなのは、表面利回りや融資条件だけではありません。

  • 実際に入居者を確保できるか
  • 想定家賃を維持できるか
  • 購入後にどのような修繕が必要か
  • 空室や家賃下落が起きても返済できるか
  • 誰が購入後の経営を支えるのか

これらを確認する必要があります。

物件を紹介した会社の説明だけで決めず、その地域で実際に客付けと管理を行う会社にも相談してください。

特に、購入後に管理を依頼する予定の会社から、契約前に意見を聞くことが重要です。

収益物件は、買うまでよりも、買ってからのほうが長い。

購入をゴールにせず、その先に続く賃貸経営まで考えて物件を選んでください。

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