高利回り物件なら儲かる?賃貸経営で本当に見るべき数字とは

「高利回り物件」

不動産投資の広告や物件情報を見ていると、このような言葉をよく目にします。

利回り10%、利回り15%、中には利回り20%を超える物件もあります。

数字だけを見ると、利回りが高い物件ほど儲かりそうに感じるでしょう。

しかし、そもそも「高利回り物件」とは、どのような物件なのでしょうか。

私が賃貸経営の相談を受けていて感じるのは、利回りという数字だけに目を奪われている方が非常に多いということです。

目次

利回りを倍にする方法

少し極端な話をします。

物件価格が変わらないという前提であれば、利回りを倍にする方法は簡単です。

家賃を倍にすればよいのです。

年間家賃収入600万円の物件なら、年間家賃収入を1,200万円にすれば、単純計算上の表面利回りは2倍になります。

ただし、その家賃で入居者を獲得できるかどうかは、まったく別の問題です。

家賃を倍に設定することは自由ですが、入居者が決まらなければ家賃収入は発生しません。

つまり、物件資料に書かれている想定家賃や表面利回りは、それだけでは収益を保証する数字ではないのです。

表面利回りは「計算上の数字」にすぎない

一般的な表面利回りは、次のように計算されます。

年間の想定家賃収入 ÷ 物件価格 × 100

例えば、物件価格5,000万円、年間の想定家賃収入が500万円なら、表面利回りは10%です。

しかし、この計算には、一般に次のような支出や損失が十分に反映されていません。

  • 空室による家賃収入の減少
  • 家賃滞納
  • 入居者募集時の広告費
  • 原状回復費
  • 建物や設備の修繕費
  • 管理委託料
  • 固定資産税や都市計画税
  • 火災保険料
  • 共用部分の電気代や清掃費
  • 借入金の返済
  • 購入時の諸費用

表面利回りが高くても、空室が多く、修繕費がかかり、家賃を下げなければ入居が決まらない物件であれば、実際に手元へ残るお金は少なくなります。

反対に、表面利回りが突出して高くなくても、安定した入居需要があり、修繕費を適切に管理できる物件なら、長期的には安定した経営ができる可能性があります。

利回りは物件を比較するための一つの目安ではありますが、利回りだけで賃貸経営の成否を判断することはできません。

なぜ高利回りになっているのかを考える

高い利回りには、高くなるだけの理由がある場合があります。

例えば、次のようなケースです。

  • 空室が長期化している
  • 現在の家賃が周辺相場より高く設定されている
  • 建物が古く、大規模修繕を控えている
  • 設備や間取りが現在の入居者ニーズに合っていない
  • 賃貸需要が弱い地域にある
  • 入居者募集に多額の広告費が必要になる
  • 売却しにくい立地や構造である
  • 一時的な満室状態を前提に利回りが計算されている

もちろん、高利回り物件のすべてに問題があるわけではありません。

しかし、「利回りが高いから良い物件」と判断するのではなく、「なぜ、この物件は高い利回りになっているのか」を確認する必要があります。

数字の背景を分析することが、賃貸経営者に求められる仕事です。

大切なのは計画どおりの家賃収入が続くこと

賃貸経営で本当に大切なのは、広告に掲載された利回りの高さではありません。

重要なのは、自分が立てた事業計画どおりの家賃収入を継続して得られるかどうかです。

その家賃収入の中から、借入金の返済、修繕費、税金、管理費などを支払い、資金を手元に残していかなければなりません。

満室時の想定家賃だけで計算するのではなく、次のような状況も想定する必要があります。

  • 入居率が下がった場合
  • 家賃を値下げした場合
  • 突発的な修繕が発生した場合
  • 金利や返済条件が変わった場合
  • 入居者募集費用が増えた場合
  • 数年後に大規模修繕が必要になった場合

このような変化が起きても返済を続けられるのか。

必要な修繕を行いながら、十分な資金を残せるのか。

ここまで考えて初めて、賃貸経営の事業計画といえます。

「満室想定」ではなく「継続可能性」を見る

収益物件の販売資料では、満室になった場合の年間家賃収入を基に、表面利回りが計算されていることがあります。

しかし、購入後も同じ家賃で満室状態が続くとは限りません。

建物は年数とともに古くなります。周辺には新しい競合物件が建つかもしれません。人口構成や入居者のニーズも変化します。

そのため、購入時点の利回りだけでなく、5年後、10年後にも選ばれる物件なのかを考える必要があります。

  • 今後も賃貸需要が期待できる立地か
  • 適正家賃はいくらか
  • 競合物件との差別化ができるか
  • 必要な修繕費を確保できるか
  • 家賃が下がっても返済できるか
  • 将来、売却できる可能性があるか

これらを総合的に判断しなければなりません。

賃貸経営は「不動産を持つこと」ではなく「経営すること」

私はいつも、オーナー様に「賃貸経営は経営です」とお伝えしています。

物件を購入して管理会社に任せれば、自動的に利益が残るわけではありません。

市場を分析し、適正な家賃を設定し、必要な投資を行い、入居者に選ばれる状態を維持する。収入と支出を管理し、将来の修繕や借入返済に備える。

これは、会社経営と同じです。

利回りの数字だけを見て判断し、その後の経営を管理会社任せにしてしまえば、当初の計画から外れたときに対応できなくなります。

賃貸経営を成功させるために必要なのは、派手な利回りの数字ではありません。

数字の裏側を読み、リスクを想定し、状況に応じて判断する経営感覚です。

まとめ

高利回りという言葉には、大きな魅力があります。

しかし、表面利回りは、あくまで一定の前提を置いて計算された数字です。

設定家賃を高くすれば、計算上の利回りはいくらでも高くできます。大切なのは、その家賃で本当に入居者が決まり、その収入が長期的に続くかどうかです。

賃貸経営で確認すべきなのは、利回りの高さだけではありません。

  • 計画した家賃収入を継続できるか
  • 空室や家賃下落に耐えられるか
  • 借入金の返済とのバランスが取れているか
  • 修繕費を含めても資金が残るか
  • 将来も入居者から選ばれる物件か

これらを冷静に判断する必要があります。

利回りの高い物件を探すことよりも、計画どおりに運営できる物件を選び、その状態を長く維持すること。

それが、賃貸経営の本質です。

賃貸経営は「投資」という側面を持っていますが、実際に行うのは「経営」です。

数字の表面だけを見るのではなく、その数字がどのように生まれ、今後も継続できるのかまで考えて判断してください。

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