管理会社に好かれる必要はない|オーナーと管理会社は対等な共同経営者

以前、ある方が「管理会社に好かれる方法」というテーマで情報を発信していました。

私はその方と深い付き合いがあるわけではありませんが、たまたま少しだけ知っていたため、その発信を見た瞬間、思わず吹き出してしまいました。

なぜなら、私が知る限り、その方自身が管理会社から「まぁまぁ嫌われて」いたからです(笑)

もちろん、人から好かれるための方法を、必ずしも本人が実践できている必要はないのかもしれません。

しかし、私はそもそも、

「オーナーが管理会社に好かれる必要などあるのだろうか」

と思います。

オーナーと管理会社は対等な関係

私の考えは明確です。

オーナーと管理会社は対等です。

オーナーがお客様だから偉いわけでもなく、専門知識を持っている管理会社が上の立場でもありません。

私は、管理会社はオーナーにとっての「共同経営者」だと考えています。

賃貸経営では、オーナーが物件を所有し、資金を出し、最終的な経営判断を行います。

一方、管理会社は賃貸市場の動向を把握し、入居者募集、契約、家賃管理、入居者対応、修繕、退去、原状回復など、現場の実務を担います。

役割は違いますが、目指すところは同じです。

  • 入居者に長く住んでもらう
  • 空室期間を短くする
  • 適正な家賃収入を確保する
  • 不必要な支出を抑える
  • 建物の価値を維持する
  • 長期的に安定した賃貸経営を実現する

同じ目的に向かって仕事をする以上、どちらかが一方的に上に立つ関係ではありません。

オーナーと管理会社は、対等な立場で意見を交わす共同経営者であるべきです。

「夜中の2時に担当者へ電話してブチ切れた」

以前、あるオーナーが次のような話を得意げにしていました。

「SUUMOに自分の物件が掲載されていなかったから、夜中の2時に担当者へ電話してブチ切れてやった」

確かに、掲載する約束の物件がSUUMOから落ちていたのであれば、管理会社側のミスです。

掲載漏れは、入居者募集の機会を失う重大な問題であり、あってはなりません。

オーナーが怒るのも当然です。

しかし、だからといって、夜中の2時に担当者へ電話をかけて怒鳴る必要があるでしょうか。

私は必要ないと思います。

緊急性のない掲載ミスについて、深夜に担当者へ電話し、感情的に怒鳴りつける行為は、正当な指摘の範囲を超えています。

少なくとも私は、そのような行為を誇らしげに話す人の人間性を疑います。

ミスはミスとして、翌朝、事実関係を確認し、原因と再発防止策を求めればよいのです。

問題を改善することが目的なら、怒鳴る必要はありません。

相手を恐怖で動かすことと、適切に仕事をしてもらうことは別です。

信頼できないなら管理会社を変えればいい

管理会社のミスが繰り返される。

何度伝えても改善されない。

報告がない。

空室対策の提案もない。

担当者と連絡がつかない。

そのような状態であれば、オーナーが不満を持つのは当然です。

しかし、信頼できない管理会社に物件を預けたまま、毎回怒鳴って動かすという関係は、オーナーにとっても管理会社にとっても健全ではありません。

本当に信頼できないのであれば、管理会社を変更すればよいのです。

管理会社は、オーナーの大切な資産と賃貸経営を支える立場です。

その会社を信用できないまま、長期的に付き合うことには無理があります。

管理会社を変えずに不満だけを積み上げるより、信頼できる会社を選び直すほうが合理的です。

管理会社から見た「難しいオーナー」

一方で、管理会社から見ると、対応が難しいと感じるオーナーがいることも事実です。

例えば、次のようなケースです。

  • 市場に合った家賃への見直しに応じてもらえない
  • 必要な設備交換や修繕を承認してもらえない
  • バリューアップ工事を提案しても、すべて断られる
  • 募集条件の改善に同意してもらえない
  • 重要な確認が必要なときに連絡がつかない
  • 回答が遅く、募集や修繕の対応が止まってしまう
  • 現場を確認せず、担当者の責任だけを追及する

管理会社の社員からすれば、仕事を進めにくいオーナーだと感じるかもしれません。

しかし、オーナーも遊びで賃貸経営をしているわけではありません。

家賃を下げれば収入が減ります。

工事を行えば、多額のお金が出ていきます。

借入金の返済、固定資産税、修繕費なども負担しています。

管理会社の担当者にとっては「家賃を2,000円下げるだけ」「エアコンを交換するだけ」かもしれません。

しかし、複数の部屋を所有しているオーナーにとって、その判断は年間収入や資金繰りに影響します。

提案にすぐ同意しないからといって、

「あのオーナーはケチだ」

「あのオーナーは面倒だ」

と一言で切り捨てるべきではありません。

なぜオーナーが反対しているのか。

どのような事情があるのか。

別の方法はないのか。

管理会社には、オーナーの経営状況を理解し、数字と根拠を示して説明する責任があります。

オーナーの理解を得られないことを、すべてオーナーの性格のせいにするのは、管理会社側の説明不足や社員教育の問題である可能性があります。

ケーキを持ってきたオーナーが嫌われた話

昔、管理会社の社員から本気で嫌われているオーナーがいました。

ある日、そのオーナーが、社員への差し入れとしてケーキを持ってきてくれました。

本来であれば、差し入れをいただいたことに感謝し、みんなで食べればよい話です。

ところが、社員たちは、

「気持ち悪い」

と言って、誰も手を付けませんでした。

最終的に、そのケーキはそのままゴミ箱へ捨てられました。

私は、この出来事を今でも覚えています。

人間関係が一度壊れてしまうと、差し入れを持っていった程度では修復できません。

むしろ、相手から嫌われている状態で急に差し入れをしても、

「何か意図があるのではないか」

と、悪い方向に受け取られてしまうことさえあります。

しかし同時に、いただいた差し入れを「気持ち悪い」と言って捨てる社員側の態度も、決して褒められたものではありません。

どれだけ苦手なオーナーであっても、自社へ管理を任せていただいている大切な取引先です。

個人的な好き嫌いを仕事へ持ち込むべきではありません。

このような状態を放置しているのであれば、それは担当者個人だけの問題ではなく、管理会社の社員教育と組織管理の問題です。

差し入れをしても、言いなりになっても信頼関係は築けない

管理会社に好かれるために、ケーキや菓子折りを持っていく必要はありません。

管理会社から提案された家賃の値下げや工事を、すべて受け入れる必要もありません。

担当者に嫌われたくないからといって、本来言うべき意見を我慢する必要もありません。

オーナーは賃貸経営者です。

自分の資産と収益を守るために、必要な質問をし、納得できない提案には反対する権利があります。

管理会社も、オーナーに好かれるためだけに、無理な要求をすべて受け入れる必要はありません。

できないことはできないと説明し、必要な工事や家賃の見直しについては、根拠を示して提案すべきです。

どちらかが相手の顔色をうかがい、言いなりになる関係は、共同経営とはいえません。

必要なのは「好かれること」ではなく適度なコミュニケーション

管理会社に好かれる方法があるとすれば、それは差し入れをすることでも、管理会社の提案をすべて受け入れることでもありません。

私が大切だと思うのは、

適度なコミュニケーションを取ること

です。

例えば、次のようなやり取りです。

  • 管理会社からの連絡に必要な範囲で回答する
  • すぐに回答できない場合は、いつまでに回答するか伝える
  • 家賃や工事の提案について、理由と根拠を確認する
  • オーナー自身の経営方針や資金計画を管理会社へ伝える
  • ミスが起きたときは、感情ではなく事実と改善策を話し合う
  • 管理会社も良い結果と悪い結果を正直に報告する
  • 定期的に物件の現状と今後の方針を確認する

毎日のように電話をする必要はありません。

担当者と友達になる必要もありません。

高価な差し入れを持っていく必要もありません。

必要なときに連絡が取れ、お互いの考えを率直に話し合える関係であれば、それで十分です。

管理会社にもオーナーから信頼される努力が必要

「管理会社に好かれる方法」という話になると、オーナー側だけに努力を求める内容になりがちです。

しかし、信頼関係は一方だけの努力では成立しません。

管理会社にも、オーナーから信頼されるための努力が必要です。

  • 問い合わせに対して誠実に回答する
  • 悪い情報ほど早く報告する
  • 家賃を下げる前に、ほかの対策も検討する
  • 工事の必要性と費用を分かりやすく説明する
  • オーナーの経営方針を理解する
  • ミスを隠さず、原因と再発防止策を伝える
  • 担当者の好き嫌いで対応を変えない

管理会社が自らの責任を果たさず、オーナーにだけ「管理会社から好かれる努力」を求めるのは間違っています。

オーナーと管理会社の双方が、相手から信頼される行動を取る必要があります。

まとめ

オーナーが管理会社に好かれる必要はありません。

管理会社へ差し入れをしたり、担当者の機嫌を取ったり、提案をすべて受け入れたりする必要もありません。

反対に、オーナーだからといって、深夜に担当者へ電話して怒鳴ることが許されるわけでもありません。

管理会社にミスがあれば、正しく指摘して改善を求める。

管理会社の提案に納得できなければ、根拠を聞いて話し合う。

それでも信頼できなければ、管理会社を変更する。

それだけの話です。

オーナーと管理会社は、どちらかが上で、どちらかが下という関係ではありません。

安定した賃貸経営を実現するための、対等な共同経営者です。

共同経営者に必要なのは、好き嫌いではありません。

必要なときに連絡が取れ、良い話も悪い話も正直に伝え、お互いに納得できるまで話し合えることです。

管理会社に好かれようとする必要はありません。

管理会社と適度なコミュニケーションを取り、信頼関係を築いてください。

それが、オーナーと管理会社が長く付き合うための、最も基本的で大切な方法だと思います。

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