20年くらい前、富山には利回り20%、30%という収益物件がゴロゴロしていました。
当時を知っている不動産業者なら、懐かしく感じるのではないでしょうか。
ところが、不動産投資の人気が高まるにつれ、
「富山は利回りがいい!」
という情報が全国に広まり、県外からも多くの不動産投資家が富山に物件を求めてやってくるようになりました。
その結果、今では利回り10%を超える物件ですら、以前ほど簡単には見つからなくなってきました。
では、富山で利回り20%を超えるような物件は、もう手に入らないのでしょうか?
私は、そうは思っていません。
今回は、当社が実際に仲介し、購入後の賃貸経営までお手伝いした、ちょっと面白い事例をご紹介します。
購入時の利回りは約14%。それが最終的には20%超えになった物件です。
入居率50%強。しかも人気のないエリアのRC物件
今回の物件は、富山市内でも旧郡部にあるRC造の賃貸マンションでした。
正直に言えば、お世辞にも「人気エリア」と呼べるような場所ではありません。
しかも、当時の入居率は50%強。
普通の不動産業者であれば、
「これは厳しいですね……」
となる物件だったと思います。
実際、物件に興味を示す投資家もほとんどいませんでした。
しかし、私はこの物件に勝機を感じていました。
なぜか?
問題は「物件」でも「エリア」でもなく、「所有者の事情」にあると考えたからです。
売主は東京の資産家。もう再投資する気力がなかった
この物件の所有者は、東京の下町に住む資産家の方でした。
バブルの頃に全国各地の不動産を購入し、多くの収益物件を所有していた方です。
借入金は、すでにほぼゼロ。
年齢も80歳を迎えていました。
当然、今さら多額のお金をかけて建物をリノベーションし、入居率を改善しようという気力もありません。
「もう年齢も年齢だし、安くてもいいから誰か買ってくれないかな……」
そんなスタンスだったのです。
私は、ここに大きなチャンスがあると感じました。
建物そのものが使い物にならないわけではない。
入居需要がまったくないわけでもない。
ただ、今の所有者には、これからお金をかけて物件を再生させる意欲がない。
つまり、物件に価値がないのではなく、価値を引き出せていない状態だったのです。
「人気のないエリア=賃貸経営ができない」は本当か?
ここで少し、富山の賃貸市場についてお話しします。
富山市は2005年に周辺の市町村と合併し、現在の広い市域になりました。
そのため、一口に「富山市」と言っても、富山駅周辺の市街地から山間部まで、エリアによって賃貸需要は大きく異なります。
旧郡部は、市街地に比べれば人口が少なく、賃貸需要も限られます。
しかし、だからといって賃貸経営ができないわけではありません。
旧郡部には工業団地や企業の工場なども点在しています。
また、旧大沢野エリアでは、岐阜県の飛騨・高山方面への通勤を考える方もいます。
つまり、都市部とは違う賃貸需要が存在しているのです。
そして、ここが重要です。
人口が少なく、賃貸需要が限られるエリアでは、新築アパートの供給も少ない場合があります。
需要が少ないからといって、必ずしも空室が多いとは限りません。
賃貸経営で大切なのは、需要の大きさだけでなく、需要と供給のバランスなのです。
もちろん、旧郡部ならどこでも同じというわけではありません。
地域ごとの人口、企業、通勤圏、競合物件、募集条件などを調査する必要があります。
にわか投資家が見向きもしない物件にチャンスがある
最近は、不動産投資について勉強している方が非常に増えました。
それ自体は良いことだと思います。
しかし、少し勉強しただけで、
「このエリアは人口が少ないからダメ」
「駅から遠いからダメ」
「入居率50%なんて絶対に買ってはいけない」
と、物件にレッテルを貼ってしまう方もいます。
確かに、どれもリスクを判断するための重要な情報です。
でも、それだけで投資の可否を判断してしまうのは、もったいないと思うのです。
私が今回の物件で見ていたのは、現在の入居率ではありません。
「なぜ入居率が低いのか?」
「お金をかければ改善できるのか?」
「このエリアに、どんな入居需要があるのか?」
「改善するまでの資金繰りは大丈夫か?」
こうした点です。
そして私は、
「この物件は、再投資すれば復活できる可能性が高い」
と判断しました。
誰にでも売るわけではない。購入者にも条件がある
私は以前から、収益物件を仲介するということは、購入したオーナー様の賃貸経営に責任を持つことだと考えています。
仲介手数料が入れば、それで終わり。
そんな仕事はしたくありません。
目先の利益のために、購入後にオーナー様が苦しむような物件を積極的に売るつもりもありません。
今回の物件も、誰にでもおすすめできるものではありませんでした。
私が購入者に求めたのは、次の3つです。
- 現状の入居率でも、銀行への返済に無理がないこと
- 購入後、ある程度の再投資ができること
- 時間をかけて、当社と二人三脚で賃貸経営に取り組めること
この条件を満たせる投資家でなければ、紹介するつもりはありませんでした。
そして、信頼できる投資家の方にお話ししたところ、
「ぜひ購入を検討したい」
との返事をいただきました。
さまざまな問題をクリアし、無事に売買契約が成立。
所有権移転も完了しました。
しかし、我々の仕事は、ここからです。
入居率50%でも、購入時の利回りは約14%あった
今回の物件が面白いのは、ここです。
入居率50%強の状態でも、購入時の利回りが約14%あったのです。
しかも、その状態でも銀行への返済に問題がない収支計画でした。
これは非常に重要なポイントです。
空室だらけの物件を購入して、
「早く満室にしないと返済できない!」
という状態では、焦ってしまいます。
焦れば、必要以上に家賃を下げたり、無理な募集をしたり、十分な検討をせずに工事を進めたりすることにもなりかねません。
しかし、今回の物件は違いました。
現状の入居率でも返済できる。
再投資するための資金も確保できる。
だからこそ、時間をかけて物件を改善することができたのです。
私は購入前から、オーナー様にこうお話ししていました。
「すぐに満室になるとは思いません。2年くらいかけて、少しずつ改善していきましょう」
この考え方を理解していただけたことが、今回の成功につながったと思っています。
1部屋ずつリノベーション。決まったら次の部屋へ
購入後、まず取り組んだのは、共用部分の必要な改修工事でした。
そして、空室のリノベーションです。
ただし、最初からすべての空室を一気に工事したわけではありません。
1部屋リノベーションする。
すると、その部屋に入居が決まる。
次の部屋をリノベーションする。
また、入居が決まる。
そんなことを繰り返していきました。
もちろん、物件の状態や資金計画によっては、一度に工事したほうが良いケースもあります。
しかし、今回の物件では、段階的に工事を進める方法が合っていました。
入居者の反応を確認しながら、次の部屋の改修を進めることができます。
そして何より、資金繰りに無理がありません。
賃貸経営は、焦らず、確実に改善していくことも大切なのです。
2年の予定が、1年数か月で満室に!
当初は、満室になるまで2年程度を想定していました。
ところが、実際には予想を上回るペースで入居が決まっていきました。
リノベーションした部屋は順調に契約となり、次の部屋、また次の部屋と改善を進めていった結果……
なんと、1年数か月で満室になったのです!
当初の予定より、かなり早い満室達成でした。
もちろん、すべての物件で同じように進むとは限りません。
しかし、物件の状態を見極め、適切な再投資を行い、入居者に選ばれる物件へ改善していく。
その積み重ねが、今回の結果につながったのだと思います。
そして、利回りは20%を超えた!
満室になった後、購入したオーナー様に聞いてみました。
「結局、利回りは20%を超えましたよね?」
すると、オーナー様から返ってきた答えは、
「余裕で超えてます(笑)」
いやぁ、嬉しかったですね。
購入時は入居率50%強。
利回りは約14%。
それが、リノベーションと入居率改善によって満室になり、オーナー様の計算では利回り20%を超える物件になったのです。
ここで誤解してほしくないのは、利回り20%という数字だけで投資の成否を判断できるわけではないということです。
実際の収益性は、リノベーション費用や修繕費、管理費、税金、借入返済なども含めて考える必要があります。
それでも、購入時の状態から大きく収益を改善できたことは、間違いなく大きな成果でした。
売主の資産家も喜んでくれた
今回、もう一つ嬉しかったことがあります。
売主だった東京の資産家の方にも、
「おかげさまで、満室になりました」
と報告したのです。
すると、大変喜んでくださいました。
高齢になり、自分ではこれ以上、物件にお金をかけて改善することが難しくなっていたオーナー様。
その物件を、意欲のある新しいオーナー様が引き継ぎ、再投資して満室にする。
売主も喜び、買主も喜ぶ。
そして、空室だった部屋には新しい入居者が住んでくれる。
これこそ、不動産売買と賃貸管理を一体で行う醍醐味だと思います。
利回り20%の物件は「探す」だけではなく「育てる」もの
今回の事例で、私が一番伝えたいのはここです。
不動産投資家の方は、よくこう言います。
「利回り20%の物件があったら紹介してください!」
もちろん、そんな物件が売りに出ていれば魅力的でしょう。
しかし、最初から利回り20%の物件が、誰にでも分かる形で売りに出ているとは限りません。
むしろ、今回のように、
「今は入居率が低いけれど、改善すれば収益が大きく伸びる物件」
にこそ、チャンスがあるのではないでしょうか。
ただし、何でも買ってリノベーションすれば良いという話ではありません。
エリアの需要、競合物件、建物の状態、改修費用、資金繰り。
こうした条件を見極める必要があります。
そのうえで、
「購入後、どうやって物件の価値を高めるか?」
ここまで考えることが、本当の不動産投資だと私は思っています。
まとめ|富山には、まだまだ可能性のある物件が眠っている
今回の物件は、最初から誰もが欲しがるような優良物件だったわけではありません。
人気のないエリア。
入居率50%強。
高齢のオーナーが再投資を諦めたRCマンション。
しかし、見方を変えれば、まだまだ可能性のある物件でした。
現状の収支で返済できる価格で購入し、時間をかけて再投資する。
そして、賃貸管理会社とオーナー様が二人三脚で入居率を改善していく。
結果、1年数か月で満室。
利回りも20%超え。
私は、収益物件の仲介とは、単に物件を右から左へ売る仕事ではないと思っています。
「買っていただいた物件を、どうやって成功する賃貸経営につなげるか」
そこまで責任を持つのが、我々の仕事です。
富山には、まだまだこうした可能性のある物件が眠っているのかもしれません。
ただ、それを見つけるには、表面的な利回りや人気エリアという言葉だけではなく、物件の本当の価値を見極める目が必要です。
そして、購入後の賃貸経営を支える管理会社の力も重要です。
今回の仕事を振り返って、改めて思います。
いい仕事しました(笑)

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