私は、初対面でいきなり、
「勤務先はどちらですか?」
「年収はいくらですか?」
「自己資金はいくらありますか?」
「所有している不動産は何棟ですか?」
と聞いてくる営業マンを、絶対に信用してはいけないと思っています。
誤解のないように言えば、収益物件の購入では、勤務先、年収、自己資金、既存借入などの確認は必要です。
私が問題にしているのは、聞く内容ではなく、聞く順番と目的です。
本来、営業マンが最初に聞くべきことは、年収や資産額ではありません。
- なぜ不動産投資を始めたいのか
- 賃貸経営によって何を実現したいのか
- どのような物件を求めているのか
- 希望するエリアや価格帯はどこか
- 短期的に売却したいのか、長期保有したいのか
- どの程度のリスクなら許容できるのか
- 将来、どこまで規模を拡大したいのか
- 購入後の管理や運営をどう考えているのか
このような希望や目的、背景を確認するのが先です。
それを何も聞かず、いきなり年収や勤務先、自己資金を確認する。
その営業マンは、お客様の希望を知りたいのではありません。
「この人なら、いくらまでの物件を買わせられるか」
を計算しているのです。
お客様の希望ではなく、融資可能額に物件を合わせる
例えば、お客様が本当に求めているのは、
「無理のない返済で、長期的に安定経営できる5,000万円程度の物件」
かもしれません。
ところが、営業マンが属性を確認した結果、
「この人なら1億円まで融資が出る」
と判断すると、突然、1億円の物件を勧め始めます。
お客様が1億円の物件を欲しいかどうかは関係ありません。
1億円まで借りられる。
だから、1億円の物件を売る。
完全に営業マン側の都合です。
さらに、
「これだけ属性がよいのに、5,000万円の物件ではもったいないですよ」
「今の属性なら、一気に規模を拡大できます」
「融資枠が使えるうちに買ったほうがよいです」
などと言って、お客様の希望とは違う物件へ誘導します。
しかし、借りられる金額と、安全に返済できる金額は同じではありません。
ましてや、融資可能額がお客様の投資目的になるはずもありません。
物件選びではなく「売りつける作業」になっている
このような営業マンが見ているのは、お客様ではありません。
お金です。
お客様の目的や将来よりも、
- いくら借りられるか
- いくら自己資金を出せるか
- どの価格帯まで売れるか
- 仲介手数料はいくらになるか
- 今月の売上をいくらつくれるか
ということしか考えていません。
だから、お客様が求めていない物件でも平気で紹介します。
自分なら絶対に買わないような物件でも、
「今後、値上がりする可能性があります」
「高利回りの優良物件です」
「ほかにも検討者がいます」
などと言って、購入を急がせます。
成約して仲介手数料が入れば、その営業マンの仕事は終わりです。
その後、空室が増えても知りません。
修繕費がかかっても知りません。
想定した家賃で決まらなくても知りません。
返済が苦しくなっても、代わりに返済してくれるわけではありません。
売っておしまいです。
良い営業マンは、最初に「いくら持っているか」を聞かない
良い営業マンは、最初から財布の中身をのぞこうとはしません。
まず、お客様が何を考え、何を求め、何に不安を感じているのかを聞きます。
そのうえで、
「その目的を実現するには、どのような物件が適しているか」
「どの程度の借入なら安全に経営できるか」
を一緒に考えます。
そして、具体的な物件や融資の検討段階になったところで、必要な範囲の属性や資産状況を確認します。
この順番が大切です。
希望や目的を聞いてから、資産を聞く。
これが、お客様のために物件を探す営業マンです。
反対に、
資産を聞いてから、売る物件を決める。
これは、お客様に合う物件を探しているのではありません。
お客様の購入可能額に合わせて、売りたい物件を選んでいるだけです。
初対面で、こちらの目的や希望には興味を示さず、年収、勤務先、自己資金、所有不動産ばかり聞いてくる。
そんな営業マンに出会ったら、注意してください。
その人が知りたいのは、あなたの人生や賃貸経営の目的ではありません。
あなたから、いくら売上を取れるかです。

コメント