「マイソク」という言葉を聞いたことがありますか?
賃貸オーナーさんから、
「この物件のマイソクをください」
「新しく募集する部屋のマイソクはできましたか?」
と言われることがあります。
不動産業界に長くいる人なら、すぐに意味が分かるでしょう。しかし、最近の若いスタッフに言っても、通じないことがあります。
「マイソク? 何ですか、それ?」
そんな反応をされるかもしれません(笑)
「マイソク」とは何か?
マイソクとは、物件の所在地、賃料、間取り、設備、契約条件、写真などを1枚にまとめた物件資料のことです。
この言葉は、資料の正式名称から生まれたものではありません。
由来となったのは、現在の株式会社マイソクです。
同社は1969年、不動産情報の流通を目的とする個人事業「毎日速報センター」として創業しました。その後、1973年に株式会社毎日速報センターを設立しています。
元付け業者から集めた物件情報を図面にまとめ、ほかの不動産会社へ配布する事業を行っていたことから、「毎日速報センター」の略称である「マイソク」が、物件情報図面そのものを指す言葉として業界に広がったとされています。
つまり、もともとは会社名に由来する呼び方なのです。
賃貸の現場では、もうほとんど聞かない
「マイソク」は、今でも不動産業界で使われている言葉として解説されています。
しかし、私の感覚では、少なくとも賃貸仲介の現場で「マイソク」という言葉を日常的に使う会社は、かなり少なくなっています。
私は不動産業界で約30年仕事をしてきましたが、現場では25年ほど前から、すでにあまり聞かなくなっていました。
現在は、
「物件資料」
「募集図面」
「物件概要書」
などと呼ぶことが多いのではないでしょうか。
私は全国賃貸管理ビジネス協会や日本賃貸住宅管理協会の役員を務めているため、全国の同業者と話したり、他社を訪問したりする機会があります。
その経験の範囲内では、賃貸系の会社で「マイソク」という言葉を普通に使っている場面は、ほとんど見かけません。
売買を中心とする会社では、今でも耳にすることがあります。一方、賃貸仲介の現場では、もはや死語に近い業界用語だと私は感じています。
もちろん、これは統計調査の結果ではなく、私自身の実務経験に基づく感覚です。地域や会社、売買・賃貸といった業態によって、現在も使われているケースはあります。
オーナーと若いスタッフの間に起きる言葉のズレ
不動産業界には、昔から使われている独特な言葉が数多くあります。
長年賃貸経営をしているオーナーさんにとっては当たり前の言葉でも、若いスタッフにとっては聞いたことのない言葉かもしれません。
オーナーさんが、
「マイソクをください」
と伝えたのに、スタッフが不思議そうな顔をしていたとしても、必ずしも勉強不足とは限りません。
単純に、世代や会社によって使う言葉が変わっているのです。
確実に伝えたい場合は、
「物件の募集図面をください」
「入居募集に使っている物件資料をください」
と言ったほうが通じやすいでしょう。
業界用語も時代とともに変わる
「マイソク」という言葉が間違っているわけではありません。
現在でも、物件情報をまとめた図面を表す不動産用語として紹介されています。また、その言葉には、不動産情報を紙で印刷し、業者間で配布していた時代の歴史が残っています。
ただし、現在の賃貸募集はインターネットが中心です。
物件情報は管理システムや業者間サイトに登録され、各ポータルサイトへ連携されます。紙の図面を配っていた時代とは、情報の流れそのものが大きく変わりました。
仕組みが変われば、現場で使われる言葉も変わります。
「マイソクください」と若い店舗スタッフに伝えても、通じないことがあるのでご注意ください(笑)
今なら、
「募集図面ください」
この一言で十分です。

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